タイトルはNiziUの 「Step and a step」の歌詞の一部です。この曲がリリースされたのは2020年12月でした。新型コロナウイルス流行の最中、一生懸命生きる世界中の人々へエールを込めたと言われています。プロデューサーのJ.Y. Park(パク・ジニョン)はオーディションの中で、「誰もが特別な理由をもって生まれてきたこと、1 位になっても、ビリになっても同じように特別であり、このオーディションはある特定の目的に合う人を探すだけで特別かどうかは関係がない。」と言う場面がありました。私はずいぶんと聖書的な話をするものだと感じました。
今月の聖書の言葉は「ペトロの手紙」から採られています。書き手とされるペトロがこの手紙を書き、初期の教会に送った時も、大変な困難に直面していました。ローマ帝国による迫害、加えて教会の仲間内での対立によって、苦しみ、悩んでいました。その人たちに向けてペトロは伝えました。「あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっている」と。「賜物」は新約聖書が書かれたギリシア語では「カリスマ」です。〈カリスマ何々〉とか〈何々のカリスマ〉の元になった言葉です。英語では「ギフト」と訳されています。カリスマもギフトも、”神様がこの上ない好意を持って、私たちに与えて下さる素晴らしい贈り物”ということです。不安に襲われている人たちに、「神様は大きな力強い素晴らしい贈り物を、無償の賜物をすでに与えて下さっている、その賜物を生かして互いに仕えなさい」と語ります。私たちは既に与えられていますが、それを生かすように言われているのです。
しかし、これはなかなか難しい問題です。私たちはわざわざオーディションに参加しなくても、日々の生活の中で、周りと比べて劣っていることや欠けていることを実感させられているのではないでしょうか。忘れてはならないのは、私たち(人間)の努力によって与えられているのではない、ということです。私たちは既に賜物を与えられており、既に特別なのです。だからこそ、賜物を生かすべく歩んでいくことが求められているのです。
園長 山田原野