1971年から3年間、荒尾教会・荒尾めぐみ幼稚園を牧師園長として担われた、岩高澄(きよし)先生が11月5日に89歳で召天されました。3年前に創立75周年記念礼拝にお招きした際は、とてもお元気でしたので驚き、悲しい気持ちで一杯です。岩高先生が長年通われた東梅田教会の牧師より、岩高先生がよく荒尾教会・荒尾めぐみ幼稚園のことをお話しして下さっていたと伺いました。在任期間はたったの3年間でしたが、とても密度の濃い時であり、離れてからも祈って下さっていたのです。
岩高先生が荒尾時代を振り返って書かれた文章があります。どれも興味深いのですが、特に心に響いたのは、荒尾めぐみ幼稚園で自閉症のお子さんとお母さんが入園したいとやって来られた時のエピソードです。岩高先生はお母さんに答えました。
「全く経験も自信もありませんが、どのお子さんでも、その人格を尊く思いますので、勉強しながらでも良ければ、お預かり致しましょう」
そして岩高先生は実際に熊大の先生たちが主催する自閉症児の勉強会に月一回通いました。さらに、その子には、誰か先生が一人つかなければならなかったので、教会員さんに働いてもらったそうです。
今でこそインクルーシブ保育というのが当たり前になってきています。しょうがいがあろうとなかろうと、どのような個性や文化的な背景があったとしても、どのような子どもも一緒に育っていく保育。それを50年も前にこの荒尾めぐみ幼稚園で実現しようとがんばっておられたんだと知り、深く感銘を受けました。そして、岩高先生のこの強い願いと祈りが、いまの荒尾めぐみ幼稚園に繋がっていることに気付かされたのです。
キリスト教保育はインクルーシブ保育であり、インクルーシブ保育ではないキリスト教保育はありえません。なぜならイエスさまは、一人ひとりを抱きしめたからです。神さまは子どもたちを分け隔てることはしないことを伝えてくれたからです。
岩高先生も、そのことを信じていたからこそ、どの子も伸び伸びと荒尾めぐみ幼稚園で過ごせるように、走り回ったのです。岩高先生の働きに改めて感謝し、繋げていきたいと願っています。