『内村鑑三 悲しみの使徒』

若松英輔著『内村鑑三 悲しみの使徒』(岩波新書,2018年1月発行)を読みました。内村鑑三(1861-1930)が日本のキリスト教に及ぼした影響はとても深く、召されてから90年近く経った今でも、毎年のように内村に関する論文や書籍が発行されていますが、そこに一冊の良著が加わりました。8月に北海道にいる友人牧師がFacebookで紹介しており、早速購入したのです。

内村鑑三の弟子の一人に鈴木弼美(すけよし)がいます。東京帝国大(現・東大)時代に内村と出会い、聖書研究会に加わりました。卒業後は同大学の理学部助手となりまが、4年後その職を辞し内村から派遣され、伝道のために向かった先が山形県小国という、小さな農村でした。そこで鈴木が創ったのが、基督教独立学園という小さな全寮制の高校でした。私はそこの49期生です。入学したときには、鈴木初代校長は召されていたので、直接会うことはありませんでした。しかし、内村のキリスト教信仰の影響ははっきりとそこに刻まれていました。と言っても、内村の信仰やキリスト教思想を把握するにはあまりに広く、高校生の私には断片的な学びしか出来ませんでした。

若松英輔さんは批評家・随筆家であり、カトリック信者でもあります。回心、入信、死者、非戦、再臨、訣別、宇宙の7つのトピックから内村に迫っており、私の中での内村像が深められました。特に印象的だったのは、内村の影響を受けた人物として、徳富蘆花・志賀直哉・柳宗悦・石牟礼道子・神谷美恵子などが挙げられていた点です。キリスト教の枠を超えて、内村は深い影響を与えたのです。一読をお薦めします!(有明海のほとり便り no.87)

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