月に一度『神さまが見守る子どもの成長』(石丸昌彦著)という本を読んでいますが、お勧めの一冊です。
先日一緒に読んだ箇所で、ドナルド・ウィニコット(1896-1971・イギリスの精神科医・小児科医)が“Good enough mother(ほどほどの母親)”という言葉を遺していることを知りました。
この言葉は勘違いしないよう注意が必要です。「本当は完璧が良いのだけれど、人間は完璧ではありえないから、ほどほどで満足するしかない」という意味ではありません。「完璧な母親はかえってよろしくない、ほどほどの母親こそ最高の母親」という意味なのです。…どんなに愛情深い母親でも、ちょいちょい失敗をします。子どもが望んでいないのものを与えたり、望んでいるものでも見当外れのタイミングで与えたりすることが、どうしても起きるでしょう。そんな時、子どもは自分の不満を母親に伝えなければなりません。知恵を働かせ、言葉や行動でアピールし、自分の望む方向へ母親を誘導しようとするはずです。その反復こそが子どもを成長させるのだ、ウィニコットはそう指摘したのです。(p.38)
社会に溢れている「〇〇をすれば子どもが〇〇になる」といったようなキャッチフレーズが、家庭に無言の圧力(「完璧を目指せ」)を与えています。また、幼児教育においても早期教育(文字・数・外国語・音楽・スポーツ)を望む声はとても根強いと感じています。保育の質を高めていくこと、そのために学び研鑽を重ねることはとても大切です。けれども子どもたちが安心して過ごし、大きく成長していくためにも求められるのは「完璧(perfect)」ではなく、「ほどほど(good enough)」であることも大切したいと願っています。
どのご家庭もすでに精一杯子どもたちのために努力されていることを、誰よりも神さまがご存知です。
「ほどほどの保護者・保育者」を心がけつつ、ゆっくりゆっくり共に歩んでいきましょう。